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Mote Marine Lab


世界の海の懸念される4つの問題と、私たちが支援する「1% For the Planet」パートナーを詳しく紹介するNoahのルックブックで現在進行中のシリーズでは、「有害な海を生み出す潮」を取り上げます。

モート海洋研究所は、海洋研究に特化した数少ない独立系非営利研究所のひとつです。当初はサメの研究に重点を置いていましたが、現在では200人以上のスタッフを擁するまでに成長し、世界中の幅広い海洋問題に取り組んでいます。そのうちのひとつが、特に赤潮に焦点を当てた「フロリダ赤潮緩和・技術開発イニシアチブ」です。

このイニシアチブでは、より優れた検出システムを開発し、テクノロジーを使って市民科学者に協力を求めることで、赤潮の発生を減らし、その影響を管理しようとしています。私たちは、ステファニー・ケトル(Stephannie Kettle)にモートについて、またフロリダ赤潮について話を伺いました。赤潮とは、海岸や沿岸地域を汚染する減少で、近年その発生頻度を高めています。

モートの背景について教えてください。

モートは、1955年、ユージニー・クラーク博士(Dr. Eugenie Clark)によって、画期的なサメ研究を行うためにフロリダ州プラシーダの小さな小屋にケープ・ヘイズ海洋研究所として設立されました。当初のスペースが手狭になり、シエスタ・キーに移転した後、研究所の主要な後援者ウィリアム・R・モートの名にちなんで1967年に名称が変更されました。研究所は1978年にサラソタのシティ・アイランドに移転し、1980年にモート水族館をオープンし、住民や観光客に研究を公開しました。

モートの主な取り組みは何ですか?

海の保全と持続可能な利用は研究と教育から始まるものであり、今そして未来の子供たちにより良い環境を創造するためにはその両方が不可欠であるという信念のもと、世界トップクラスの海洋科学者が集まる、独立した非営利の海洋研究機関です。

フロリダ赤潮とは?

赤潮(有害藻類ブルーム)とは、強力な毒素を放出する可能性のある微細な植物のような生物が、通常よりも高い濃度で発生することです。フロリダの西海岸やメキシコ湾の他の地域では、赤潮の原因となる藻の一種はカレニア・ブレビス(Karenia brevis)で、しばしばK. brevisと略されます。「フロリダ赤潮」は、この特定の生物によるブルームを指します。

フロリダ赤潮の原因は何ですか?

複合的な要因によるものです。生物学的には、K.ブレビスは水中に存在しなければならず、他の植物プランクトンを上回らなければなりません。化学的には、藻が成長し増殖するのに必要な適切な水温、塩分、栄養分が同時に存在しなければなりません。物理的条件によってK.ブレビスが集中的に輸送され、生態学的条件(他の生命体の有無など)によってK.ブレビスが繁殖するかどうかが決まります。

なぜ赤潮は有害なのでしょうか?

多くの赤潮は、海洋生物と人間の両方に影響を与える有毒な化学物質を生成します。フロリダ赤潮は、魚類やその他の脊椎動物の中枢神経系に致命的な損傷を与えるブレベトキシンを生成します。また、カキやアサリなどの濾過摂食性軟体動物にも蓄積され、神経毒性貝毒を引き起こす可能性があります(赤潮のときに貝類が禁止されるのはこのためです)。

さらに、波によってK.ブレビスの細胞が破壊され、これらの毒素が空気中に放出されると、呼吸器系の炎症や、喘息や肺気腫のような疾患を持つ人々にとってはより深刻な病気につながる可能性があります。つまり、赤潮は陸上にまで害を及ぼす可能性があるということです。

赤潮は根絶できますか?

現在のところ、深刻な被害を引き起こさずに、フロリダ赤潮を湾内から完全に除去する方法は試されていません。有害な影響はK. ブレビスが死滅する際に放出される毒素によって引き起こされるため、可能性のある対策としては、これを死滅させ、生態系に害を与えないよう水から毒素を除去する必要があります。また実用性の問題もあります。赤潮の大きさはさまざまで、時には10,000平方マイルにも及ぶことがあります。また水面から海底までに存在するため、場所の特定が難しいとされています。

モートの科学者を含む科学者たちは、何十年にもわたり、効果のない対策や緩和策を除外し、より有望な対策に注意を向けるよう尽力しています。

科学者でなくてもできることはありますか?

一般的に、水路をきれいに保つためにそれぞれの役割を果たすことができます。沿岸の栄養塩、特に暴風雨による流出で海に到達した肥料が、ブルームの発生に影響を与える可能性があることが分かっています。肥料やその他の汚染物質が沿岸の生態系に流れ込むことは基本的に良くないので、これを減らすべきです。

豪雨による雨水流出もそのひとつで、人間の選択によって影響を与えることができます。私たちは沿岸の住民に、肥料をあまり必要としない庭木を選んだり、全体的に肥料の使用を最小限に抑え、避けられない場合は徐放性の品種を使用したりすることを勧めています。

モートが日々直面する問題はどのようなことですか?

優れた科学や研究には時間がかかります。多くの場合、特定の出来事や大災害が世間を騒がせ、それによって新たなプロジェクトや財政支援が作られます。しかし、時間が経つと、初めの熱意は消えてなくなってしまいます。

例えば、モートはC-IMAGEコンソーシアムの一員であり、2010年メキシコ湾原油流出事故の影響の調査を続けています。この事故が起きたのは10年前ですが、環境への影響を完全に理解するには、世間の関心が薄れてからさらに何年も先のことになるでしょう。

同様に、フロリダ赤潮の研究資金も、ブルームが大繁殖した後には増えるでしょうが、その後は減少するでしょう。長期的な研究には安定した資金が必要であるため、このような浮き沈みは科学に悪影響を与えます。


モート海洋研究所についての詳細はこちら:https://mote.org